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司法取引等についての雑感

明日から,とうとうゴールデンウィークが始まります。
 
1 司法取引等
ところで,6月から刑事訴訟法の一部の改正が施行されることになり,司法取引や,刑事免責に基づく証言強制制度等が行われることになります。
正直,実際にやってみないと,どのようの形で動いていくのかわからないところはあるので,国選等の場合でも,共犯がいるような場合には慎重に動いていく必要が生じてくるのだと思います。
 
具体的には,取引の可能性等があるのであれば,それをつかって減刑等の可能性を残すために,とりあえず黙秘した方がよいというアドヴァイスをすることが,今まで以上に増えることになるのかなと思っています。
 
2 制度と文化
こういったことがあると思うのは,これまで外国の方は,黙秘したり,否認することが多いが,日本人は,正直に話して反省をしていることを示そうとするというようなことを聞いたことがあります。
 
しかし,実際にそういった傾向があるとしても,民族性とかの問題ではなく,結局は制度の問題なのではないかと。
 
どういうことかというと,司法取引等がある場合は,取引を行うためには黙秘,もしくは否認する必要があるので,そのような制度がある場合には,弁護士も取引を持ち掛けてくる可能性があるのであれば,しゃべるなというアドヴァイスをすることになる。
逆に,そういったことがなく,かつ,実際にやっているのであれば,アドヴァイスとしては,正直に話して,反省しているところ見せることが減刑につながることになるというものになる。
 
なので,正直に話すか,とりあえず黙秘することが多いかは,司法取引という制度の有無による面も多いのではないかと思います。
ただ,これは何のエヴィデンスもない感想ですので,ひょっとしたら全く間違っているかもしれないです。
また,日本で導入される司法取引も,自分のことではなく,共犯者や他人の犯罪について知っていることしか取引には使えないので,この制度が導入されたからといって,大幅に黙秘したりすることが増えるということもないのかなとも思っています。
 
まさか,弁護士になった時には,日本にもこのような制度ができることになるとは考えていなかったので,ちょっとびっくりしています。
 
この先,10年,20年と進んでいくと,いままで当たり前に思っていたものがかわったりすることも増えてくるのでしょうね。