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過払金と裁判所

 裁判をする場合は,当該裁判を管轄する裁判所に訴えを提起する必要があります。

 過払い金返還請求について裁判をする場合も,当該請求を管轄する裁判所に訴えを提起する必要があります。

 管轄には,大きく分けて事物管轄と土地管轄があります。

 事物管轄とは,簡単に言うと,地方裁判所か簡易裁判所のどちらに訴えを提起するかという問題です。

 これについては,裁判所法で簡易裁判所が訴訟の目的の価格が140万円以下の場合は簡易裁判所,それ以外の場合については地方裁判所と定めていますので,訴訟の目的の価格(過払い金返還請求の場合は,返還を請求する過払い金の元金の金額)が140万円以下であれば簡易裁判所に,140万円を超える場合には地方裁判所が管轄を有することになります。

 土地管轄とは,どの地方裁判所,簡易裁判所に訴えを提起するかという問題です。

 まず,相手方の住所地,過払い金返還請求の場合は,貸金業者の本店所在地を管轄する裁判所は,過払い金返還請求について管轄を有します(民事訴訟法4条4項)。

 また,過払い金返還請求は,財産上の訴えなので,その義務を履行すべき場所を管轄する裁判所も,管轄を有します(民事訴訟法5条1項1号)。

 過払い金返還請求の場合,特に返還すべき場所について定められていることはないと思われますので,義務履行地は債権者,すなわち過払い金返還請求をする人の現在の住所地となります。

 そのため,過払い金返還請求をする場合,お近くの裁判所が管轄を有することになります。

 貸金業者の本店所在と,請求権者の住所地を管轄する裁判所が同一の場合をのぞき,通常は,管轄を有する裁判所が2つ存在することになります。

 このように,管轄を有する裁判所が複数存在する場合に,どの裁判所に訴えを提起するかは原告に任されていると考えられています。

 そのため,過払い金返還請求をする場合には,まず,請求する過払い金の金額により簡易裁判所か地方裁判所かが決まり,貸金業者の本店所在地を管轄する裁判所に訴えを提起するか,それとも,お近くの裁判所に訴えを提起するかは自由に選べることになります。

 どの裁判所に訴えを提起するのが有利かは、個々の状況によって変わります。

 詳しくは弁護士にご相談ください。