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判例タイムズ1380

判例タイムズ1380号の東京地裁平成23(レ)第26号の判決が少し興味を引いたので御紹介を。

 

事案は,大学のラグビーチームが合宿のために旅館を予約したところ,前日に一部の部員が新型インフルエンザに罹患したため,キャンセルをしたところ,取消料として宿泊料金全額相当額を一旦支払ったものの,その一部について消費者契約法9条1号に反するとして返還を請求したものです。

消費者契約法9条1号は,消費者契約の解除に伴う損害賠償の額または違約金を定める条項であって,これらを合算した額が,当該条項において設定された解除の事由,時期等の区分に応じ,当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害額の額を超える部分について無効にする旨を定めた規定です。

要は,消費者契約のキャンセル料等について,平均的な損害額に制限しているわけです。

本件では,その平均的な損害額について争いになったのですが,業界の標準的な約款等がないことから,実損額に近い金額(宿泊代-食費等の免れた実費)を平均的な損害額としました。

平均的な損害額をどのように認定するかはいろいろ面白い問題があると思うので,裁判例が集積されるのはありがたいですね。

 

キャンセル料等があまりに高額な場合は,一度弁護士に相談してみるのもいいのかもしれませんね。