相続放棄後の管理義務
弁護士法人心では相続放棄についての相談の問い合わせがとても多いため、今回は相続放棄後の財産の管理義務について注意喚起の意味も込めて情報提供したいと思います。
令和3年改正民法により、相続放棄後の財産の管理義務については、相続放棄時に「現に占有」している相続財産に限られることになりました。
それまでは、相続放棄をしても、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならないとされていました。
占有とは、自己のためにする意思をもって物を所持することです。
具体的には、自らの利益のために、物を自分の支配内におくことです。
そのため、空き家や、亡くなれた方が現に住んでいたような家については、「現に占有」していないとして、相続放棄をしても管理義務が生じないということが多くなりそうになります。
しかし、国土交通省等の通達では、対象の家屋に占有者自身の家財や荷物等を保管している場合や、対象となる家屋の鍵を保有している場合には占有者にあたる可能性があるとされています。
そのため、合い鍵等を持っているような場合には、注意が必要といえます。
- 次の記事へ:相隣関係について(令和3年の民法改正)
- 前の記事へ:相続登記の申請義務化について