相隣関係について(令和3年の民法改正)
令和3年の民法改正により、隣地の竹木の枝が境界線を超える場合には、一定の場合(竹木の所有者に枝を切除したにもかかわらず相当期間内に切除しない場合や、隣地の所有者が不明な場合)には枝の越境部分を自ら切り取ることができるようになりました。
これまでは、根については、土地の境界線を越える場合にはその根を切り取ることができるとされていたものの、竹木の枝については、竹木の所有者に、その枝を切除させることができると規定されるにととどまり、みずから切除することができるとは規定されていませんでした。
これまで、竹木等の越境は、空き家問題の一部を占めていたようで、この改正により、自治体担当者のクレーム対応の負担が減ったといわれています。
ところで、そもそもなぜ、枝は、勝手に自分で切ることはできず、根は、切ることができると定められていたのでしょうか。
これについては、枝は見た目等が重要であり所有者に植え替えの機会を与えるべきであるからということや、建物を建て替えるために土地を掘り返す場合、深い部分では、どの木の根が伸びてきているかわからず、隣地の木かどうかがわからないからなどといわれています。
ただ、隣地の所有者が分からない場合に、根は切ってもよいが、枝については裁判までしないといけないというのは不合理だと思いますので、この改正はよかったのではないかと思います。
- 次の記事へ:債務整理の相談の際は通帳等をご用意いただけると助かります。
- 前の記事へ:相続放棄後の管理義務