弁護士 長谷川睦(愛知県弁護士会)トップ >> >> 免責不許可事由としての浪費

免責不許可事由としての浪費

破産法においては,免責不許可事由として,浪費または賭博その他の射幸行為によって著しく財産を減少させ,または過大な債務を負担したことが定められています。

1 浪費

ただ,単に浪費といってもどのようなものが浪費に該当するかは人によって様々です。

一般的にどのような場合に浪費にあたるかについては,破産者の財産,収入,社会的地位,生活環境と対比し,破産者のお金の使い方が,その目的,動機,金額,時期,生活環境,社会的許容性の有無等を総合的に判断して定められるとしています。

そのため,十分な収入があれば,派手なお金の使い方をしていたとしても浪費に該当しないと判断されることもあります。

なにが浪費に該当するかどうかは人によって異なります。

2 賭博その他の射幸行為

賭博については,競馬,競艇,競輪等の合法的なものについては,このような行為をすることのみをとってマイナスの評価をすべきではなく,この結果過大な債務を負担することが問題となると考えられています。

また,射幸行為とは,投機性のある取引がこれにあたり,先物オプション取引やFX取引等がこれに該当することになります。

これについても,投機性がある取引自体が問題というわけではなく,破産者の資力や判断能力を超えた取引を行ってその結果として過大な債務を負担することが問題とされています。

3 財産の減少もしくは過大な債務の負担との因果関係

加えて,単に浪費があるだけでは免責不許可事由に該当しません。

浪費等と財産の減少や過大な債務の負担との間に因果関係が存在することが必要になります。

そのため,浪費が過大な債務負担の遠因に過ぎないような場合には,相当因果関係は認められないとされています。

債務の負担行為等について,複数の原因があるような場合には,主たる原因が浪費その他の免責不許可事由でない場合には,因果関係がなく,免責不許可事由に該当しないと考えられています。

4 まとめ

このように単に不用不急な出費をしたり,ギャンブルをしたりしたことが直ちに免責不許可事由に該当するわけではありません。

支払っていくことが難しいと考えながらも,免責が不許可になるかもしれないと思い,破産することをためらっている方は,一度弁護士に相談されることをお勧めします。