免責不許可と復権
1 復権とは
破産をすると,警備員・生命保険の募集人になれない等の資格の制限を受けることになりますが,これは免責許可の決定が確定することによって消滅することになります。
これを復権といいます。
そのため,破産による資格・就業の制限は破産開始決定を受けてから免責許可の決定が確定するまでのわずかな期間でしかありません。
2 免責不許可
しかし,免責には不許可事由があります。
たいていの場合には,免責不許可事由があったとしても,裁判所の裁量により免責が許可されることが多いです。
ただ,免責不許可とされることがないわけではありません。
その場合,資格の制限はどうなるのでしょうか。
3 個人再生をした場合
破産が免責不許可になってしまった場合,債務の支払義務は残ってしまうことになるので,個人再生等を申し立てることが考えられます。
個人再生には,破産における免責不許可事由に対応するような規定はないので,破産において免責不許可になったとしても,個人再生は問題なく認可される可能性が十分あるからです。
そして,個人再生等で再生計画認可の決定が確定したときも,復権を受けることができます。
そのため,破産で免責不許可となったとしても,個人再生の申し立てをして認可の決定が確定すれば,資格の制限は消滅することになります。
4 10年の経過
また,免責不許可になったとしても,永遠に資格の制限が続くことは妥当ではないと考えられることから,破産手続開始の決定から10年を経過したときは,当然復権すると規定されています。
ただ,その10年間の間に詐欺破産罪で有罪判決が確定しているような場合には,たとえ10年が経過したとしても復権することにはなりません。
5 決定による復権
また,破産者が,債務の全部について弁済,相殺,免除,時効等により,その責任を免れた場合には,裁判所に申し立てることにより,復権の決定を受けることができるとされています。
そのため,仮に詐欺破産罪等で有罪になっており,個人再生等の手続きもできない場合でも,全部債務を返済する等した場合には,復権を受けることができます。
6 まとめ
以上のとおり,仮に免責不許可になったとしても,様々な方法により資格の制限等を解除することができます。
ただ,破産する上で一番なのは免責不許可の決定を受けないとことだと思います。
そのためにも,債務の返済についてお困りの方は,弁護士にご相談ください。
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