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「個人再生事件における諸論点」メモ2

「個人再生事件における諸論点」メモ 2

前回の続きです。

最近、遅ればせながら『事業再生と債権管理』の174号(2021年10月5日号)のパネルディスカッション「個人再生事件における諸論点」を読み、個人再生をやっている弁護士として、示唆に富むところがあったので、メモ代わりにブログに残しておこうと思います。

個人再生は、住宅ローンであれば特別扱いすることができます。ただ、特別扱いすることができる住宅ローン(法律上は、「住宅資金貸付債権」といいます。)に該当するかどうかは法律で定まっています。

前回は、住宅購入の際の諸費用等もローンを組んで支払った場合、どのような影響がでるかについてメモを残しましたが、今回は、諸費用以外に支払ったものが含まれている場合です。

例えば、住宅ローンを組む際に、前に購入した家の住宅ローンが残っている場合、その残りの分も借り換えをして住宅を購入した場合はどうなるでしょうか。

これについてもパネリストの意見は分かれているようで、住宅資金貸付債権について、過去に居住の用に供していた建物の購入代金についても住宅資金貸付債権に含めてもよいのではないかとの意見と、法律の解釈上難しいのではないかとの意見に分かれているようでした。

裁判官のパネリストのからは、このような事案でも金額の多寡や貸付金額全体に占める割合などの諸事情を考慮して判断することになるが、住宅資金貸付債権該当し、住宅ローン特則が認められることはありうるとのことでした。

実務上も、住宅資金貸付債権に該当するかどうかが問題になる事例は少なくありません。

私も、上記と類似の事例は扱ったことがあり、住宅資金貸付債権と裁判所に認めてもらえた例もあれば、住宅資金貸付債権と認めてもらえずに、その部分のみ親族等に代わりに支払ってもらい、抵当権を解除したりしたこともあります。

このような事例は、パネリストの間でも意見は分かれているものになります。まずは、弁護士に相談されるのをお勧めいたします。