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過払金と時効2

1 過払い金と時効

前にも述べたように,過払金の時効は取引終了から10年というのが基本です。

2 途中で完済している場合

ただ,貸金業者等に過払い金返還請求をする場合,取引終了がどの時点かが問題になることがあります。

ほとんどの場合は,最後に返済した時なのですが,途中でいったん完済した後に再度借入れを行っている場合には,途中でいったん完済した時点で取引が終了しているのか,それとも再度借入れを行っているのだから,取引は終了しておらず,最後に返済したときに取引が終了しているのかが問題になります。

これは,いったん完済した時点が10年以上の前の場合,その時点で取引が終了していると判断されてしまうと,いったん完済するまでに発生した過払い金がすべて時効になってしまうことになるので,請求できる過払い金の金額が大きく変わることになります。

3 どのような場合に,取引が終了していると判断されるのか

いったん完済して,改めて契約をして再度借入れをした場合については,最高裁の判例があり,①いったん完済するまでの取引が続いた期間といったん完済してから再度借入れをするまでの期間の長さ,②いったん完済した際に契約書の返還を受けているか,③カードを利用して取引をしていた場合に,その失効手続きが行われているか,④いったん完済してから再度借入れをする際に貸金業者から勧誘等をされていないか,⑤改めて契約をする際の事情,⑥いったん完済した際の契約と改めて契約をした際の契約の利率等の契約条件の異同等を総合的に考慮して判断するとされています。

しかし,どのような要素を重視するかによって,結論がかわりうることから,取引の終了の有無を正確に判断することは非常に難しいといえます。

また,完済した時と同一の契約で取引をした場合には,また別の考慮要素が必要になります。

そのため,いったん完済した場合に取引が終了しているかどうかについては,まずは弁護士にご相談ください。