弁護士に依頼すると督促が止まる
弁護士に債務整理を依頼すると督促が止まることになります。
貸金業規制法21条1項9号(令和4年6月16日時点)は,債務者が,債務整理等を弁護士等に委託し,その旨の通知を書面で受けた場合,貸金業者が債務者に対し,正当な理由なく,電話をかけたり,訪問したりして,債務を弁済することを要求することを禁止しています。
そのため,弁護士に債務整理を依頼すると債権者からの督促がとまることになります。
返済をしなくとも督促がされないことになるので,借金等の返済に収入を充てる必要がなくなり,生活を立て直すことができます。また,支払いが遅れたりする前に弁護士に依頼することができれば,支払いをしなくとも督促等が直接来ることはなくなるので,家族等に知られることなく債務整理をしていくことができます。
ただ,弁護士に依頼してもすぐに督促が止まるわけではありません。
法律上は,書面により通知が届く必要があります。
そのため,弁護士に相談しようとしても,実際に相談して契約をするまでの間や,契約をしてもその旨の通知が貸金業者に届くまでの間は,相手方から督促の連絡が来ることになります。
ただ,そのような時期については,貸金業者も,債務者が弁護士に依頼することになるとすぐに支払いを受けることができなくなったり,場合によっては否認権を行使され,最終的に返還が必要になることもあるため,弁護士に対して相談をする予定があると伝えると,相談までの間一時的に督促を止めてくれることが多いです。
貸金業者からの督促にお困りの方は,まずは弁護士にご相談ください。債務整理を弁護士に依頼することにより,督促を止めた上で,生活を立て直すことができます。
任意整理で口座凍結される場合
1 任意整理をして,信用情報に事故情報が載ったとしても,原則として,お使いの預金口座等が使えなくなってしまったり,新しく預金口座が開設できなくなってしまうということはありません。
2 しかし,場合によっては,預金口座が凍結されてしまい,預金が引き出せなくなってしまうことがあります。
3 どのような場合かというと,任意整理の相手方に銀行が含まれている場合には,その銀行の口座は凍結されてしまう可能性が高いです。
4 これは,銀行から借入れをする場合には,預金をその担保とするような形で契約を行われていることが多く,弁護士等が介入することになると,借入れと預金を相殺(差し引き)するため,金額を確定するために預金口座を凍結するからです。
5 この場合,一定期間(2~3か月くらいが多いです。)預金口座を利用することはできなくなってしまい,また,当該時点において口座に入っていた預金は,強制的に銀行からの借入れの返済に充てられてしまうことになります。
6 また,銀行から借入れがある場合,当該借入れには保証会社がついていることが多いです。
7 実際に行われることは少ないのですが,銀行を任意整理の対象としない場合でも,その銀行から借入れがあり,借入れの保証会社を任意整理の対象とする場合には,当該銀行の預金口座が凍結されてしまう可能性がないとはいえません。
8 凍結される預金口座を使っていなければ,その影響等は少ないと思うのですが,給料の振込先口座に指定していたりすると,その影響は甚大です。
9 ただ,任意整理であれば,借入れがあっても,給料の振込先口座がある銀行だけ対象から外すことや,給料の振込先口座を変更していただいた後に手続きを進めていくこともできます。
10 そのため,給料の振込先口座がある銀行から借入れがあったとしても任意整理を進めていくことは可能です。
11 まずはお気軽にご相談ください。
以上
債務整理と信用情報
債務整理と信用情報
債務整理をすると,信用情報機関に事故情報が登録されることになります。
信用情報機関間は令和4年4月15日現在において,株式会社信用情報機構(JICC),株式会社シー・アイ・シー(CIC),全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3つがあります。
借入等をすると、その情報が信用情報機関に登録されることになります。
また、延滞がある程度の期間に及んだ場合や、債務整理をしたりした場合は事故情報として登録されます。
通常,新しくローンを組んだり,クレジットカードを作るような場合には,これらの信用情報機関に事故情報の有無等が照会されるので、事故情報が登録されていると、審査に通らないことが多いです。
また,取引継続中においても定期的に信用情報を確認し,その内容を利用額等に反映されることもあります。
そのため、事故情報が登録されると、延滞等していない会社のクレジットカード等についても利用限度額が0円に設定され、利用できなくなってしまうことがあります。
ただ,これは各信販会社,貸金業者や,これまでの利用の態様等によって差があるところなので,利用を継続することができることもあります。
事故情報は,登録される信用情報機関にもよるのですが,永遠に残り続けることはなく,登録から5年から10年,もしくは,完済して契約が終了してから5年間以内で削除されることになります。
たとえば,任意整理で弁護士が介入した場合,JICCであれば,発生日から5年間ほど情報が登録され,その後,情報が削除されることになります。
CICであれば,弁護士が介入したこと自体が登録されるわけではないのですが,それによる異動(延滞等)の情報が登録されることになることが多く,この情報が契約の解消等から5年以内に削除されることになります。
このように債務整理等を依頼した場合には,信用情報に事故情報が登録されることになります。
また、各信用情報機関とも、登録されている情報を本人が確認する制度を設けています。
詳しくは、各信用情報機関のホームページ等を参照ください。
なお、ここで述べさせていただいたのは,一般的な話になりますので,詳しくは弁護士にご相談ください。
個人再生の最低弁済額
個人再生における最低弁済額について説明しようと思います。
1 最低弁済額
個人再生では,再生計画を作成し,その内容に従って支払いをしていくことになります。
再生計画によって支払う金額は,最低弁済額以上である必要があります。
最低弁済額は,
- 基準債権総額による計算,
- 清算価値
- 給与所得者等個人再生の場合は,可処分所得の2年分
により決まります。
2 基準債権総額による計算
個人再生では,債務の総額(住宅資金特別条項を定める場合は,住宅ローンを除いた額)から,一定の割合については,最低限支払いをする必要があります。
具体的には,
100万円未満の場合 債務の総額
100万円以上から500万円以下の場合 100万円
500万円以上から1500万円以下の場合 債務の総額の5分の1
1500万円以上から3000万円以下の場合 300万円
3000万円以上から5000万円以下の場合 債務の総額の10分の1
となります。
この金額は,最低限支払う必要があります。
3 清算価値
清算価値とは,簡単に言うと,破産した場合に債権者への支払いに充てられる配当額のことです。
個人再生では,債権者に対し破産した場合より高率の配当を受けられることができるよう,最低限度額は,清算価値以上である必要があるとされています。
そのため,財産等がある場合,住宅ローンがいわゆるオーバーローンの状態になっていない場合には,上記の基準債権総額によって計算した以上の額を支払っていく必要が生じる可能性があります。
4 可処分所得の2年分
小規模個人再生の場合にはこの基準はないのですが,給与所得者等個人再生の場合には,最低限度額は,可処分所得の2年分を下回ることはできないとされています(なお,この基準がない代わりに,小規模個人再生では債権者の過半数の反対がないことが必要になります)。
可処分所得とは,給与所得者の収入から税金等や最低限度の生活を維持するために必要な費用を差し引いた金額によって決まります。この最低限度の生活を維持するために必要な費用は,生活保護の際の基準等により決まります。
5 以上,3つの計算された金額のうち,もっとも大きい金額が最低弁済額となります。
個人再生では,この金額を原則3年,場合によって5年間で支払っていくことになります。
ご相談をご希望の方は,ぜひ弁護士法人心へご連絡ください。
破産と自動車
1 破産手続き
破産手続きは、財産等があれば売却等して換価し、その財産を債権者に配当し、それでも残ってしまった債務の支払義務を免責するという手続きです。
そのため、自動車を所有している場合には、原則として売却等して債権者への配当に充てられることになります。
2 自動車を残せる場合
しかし、自動車が初年度登録からかなりの期間が経過している古いもので、値段がつかないような場合、もしくは20万円以下の価値しかないようなものの場合には、換価するほどの財産ではないとして、破産する場合でも手元に残せる可能性があります。
また、破産をするような場合でも99万円までの財産については自由財産として残せることが多いです。
自動車についても、通勤等のために必要であり、かつ、財産全体が99万円以下の場合には、自由財産として残せる可能性があります。
3 自動車を残せない場合
一方、価値がないような場合でも、ローン等を組んでおり、ローン会社が所有権を留保しているような場合は、ローン会社が引き揚げることになるため、手元に残せない場合が多いです。
また、他の財産との関係で、自動車を自由財産の範囲に入れることができないような場合には、手元に残せないことになります。
4 まとめ
このように、破産をしても自動車を手元に残せる場合もあれば、手元に残せないこともあります。
私は、東海市に事務所があるのですが、このあたりだと、自動車がないと生活に不便を感じることが多いと思います。
そのため、自動車を失うことになると思い、破産することをためらうことも多いかと思います。
ただ、破産しても自動車を残せることもありますので、借金の支払等に苦しんでいる場合には、弁護士に相談することをお薦めします。
自己破産の場合の必要書類④
ここでは、前回に続き、自分でも確認するため、個人の方の自己破産の際に、裁判所に提出する書類の内、代表的なものについて解説させていただこうと思います。
ただ、個別の事情によって追加の資料が必要になったりすることもあるので、自己破産をお考えの方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
④ 収支に関する資料
前々回書かせていただいたように、破産手続きが開始されるためには、支払不能でなければなりません。
支払不能とは、支払能力がないため、借金等のうち、支払期限にあるものにつき、一般的かつ継続的に支払いすることができない状態にあることをいいます。
支払いができないかどうかは、どれくらいの収入があり、生活のためにどのような支出があり、どの程度支払いに回すことができるかどうかにかかっています。
そのため、自己破産をするためには、収支の状況に関する資料を提出する必要があります。
具体的には、収入の資料として給与明細や源泉徴収票、個人事業主の場合には確定申告書の控えを提出する必要があります。
また、支払いに回すことができる余剰がどれくらいあるかは、配偶者や収入のある同居人等の収入も関わってくるため、その人たちについても同じような資料の提出を求められることが多いです。
支出についても、光熱費等の支払いの資料(領収書や自動引き落としになっている通帳)も求められることが多いです。
ただ、どのような資料が必要かは、生活状況等によっても異なりますので、まずは弁護士にご相談いただくのがよいかと思います。
自己破産の場合の必要書類③
ここでは、前回に続き、自分でも確認するため、個人の方の自己破産の際に、裁判所に提出する書類の内、代表的なものについて解説させていただこうと思います。
ただ、個別の事情によって追加の資料が必要になったりすることもあるので、自己破産をお考えの方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
③ 財産に関する資料
前回書かせていただいたように、破産手続きが開始されるためには、支払不能でなければなりません。
支払不能とは、支払能力がないため、借金等のうち、支払期限にあるものにつき、一般的かつ継続的に支払いすることができない状態にあることをいいます。
財産が有れば、支払不能といえないこともありますので、財産状況に関する資料を提出する必要があります。
具体的には、預金通帳、保険証券、退職金に関する資料、車検証、株式等有価証券、不動産に関する資料、敷金に関する資料を提出する必要があります。
細かく言うと、預金については現在の残高についての資料のほかに過去1年分(名古屋地裁の場合)の履歴、保険については解約返戻金がわかる資料、退職金については、現時点で自己都合により退職した場合の退職金が分かる資料が必要になります。
どのような資料が必要になるかは、人によって異なりますので、用意できない資料がある場合でも、弁護士に相談すれば何とかなる場合もあります。
まずは、お気軽にご相談ください。
自己破産の場合の必要書類②
ここでは、前回に続き、自分でも確認するため、個人の方の自己破産の際に、裁判所に提出する書類の内、代表的なものについて解説させていただこうと思います。
ただ、個別の事情によって追加の資料が必要になったりすることもあるので、自己破産をお考えの方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
② 債務の資料
破産手続きが開始されるためには、支払不能でなければなりません。
支払不能とは、支払能力がないため、借金等のうち、支払期限にあるものにつき、一般的かつ継続的に支払いすることができない状態にあることをいいます。
そのため、どのような債務があるかを明らかにするため、債務についての資料を提出する必要があります。
そのため、依頼者の手元に請求者や利用明細書等の債務の資料がある場合には、そういった資料を提出する必要があります。
ただ、弁護士に依頼するような場合には、弁護士が債権者に対して債務についての調査をするため、通常は、依頼者がすべての債務の資料を提出する必要はありません。
しかし、調査をするための前提として、どこに債務があるかは依頼者からの聞き取り等により把握するため、相談時にはどこから借入等があるかを確認しておいていただけると助かります。
自己破産の場合の必要書類①
ここでは、自分でも確認するため、個人の方の自己破産の際に、裁判所に提出する資料の内、代表的なものについて解説させていただこうと思います。
ただ、個別の事情によって追加の資料が必要になったりすることもあるので、自己破産をお考えの方は、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。
① 住民票
破産の場合、3か月以内に発行された住民票を提出する必要があります。
この住民票は、「世帯全員のもの」で「本籍」や「世帯主・世帯主との続柄」 が省略されていないものである必要があります。
これは個人を特定するためと、営業者ではない場合や営業者であっても営業所を有しないときはその住所地を管轄する裁判所が破産申立てを行うべき裁判所となるため、その確認のために提出する必要があります。
なお、実際の住所が住民票上の住所地と異なる場合には、実際に住んでいるとことの賃貸借契約書等を提出する等して、実際の住所地を管轄する裁判所に破産申立てを行うことができる場合も多いです。
また、住民票には「個人」のものと「世帯全員」のものの2種類があるのですが、破産の場合は、「世帯全員」のものの提出が求められています。
これは、破産の場合には支払うことができない状態にあることを確認する必要があり、そのために家計の収入と支出の状況を裁判所において確認する必要があるため、世帯の構成を裁判所に示す必要があるためです。
思ったより、ながくなってしまったので、記事を分けて続けていこうと思います。
自己破産の誤解
自己破産をすると、戸籍に破産したことが記載されるのではないかと心配される方もおられます。
しかし、そのようなことはありません。
実際,自己破産をしたとしても,周囲に知られる可能性は非常に低いです。
自己破産をすると官報に記載されたり,身分証明書という書類にその旨記載されることになります。
ただ,一般の方が官報を読む機会はまずありません。
また、身分証明書も,破産者が取ることができない資格等を取得する際に提出が求められるものであり,一般の生活の中ではほとんどとる機会はありません。
加えて,自己破産の手続きが終わり,免責許可決定が確定すれば,復権により身元証明書からも破産した旨の記載は消えることになります。
そのため、自己破産をしても戸籍等に記載されることはなく、周りの人に知られる可能性も非常に低いといえます。