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弁護士法人心 東海法律事務所




自己破産の免責

1 免責とは?

自己破産の免責とは、破産手続きにおける配当等の後でも残ってしまった債務について、支払義務を免れるものになります。

免責は、裁判所が免責の許可決定をして、官報で公告され、2週間以内に債権者等から抗告されずに確定した場合、もしくは、抗告されたが、それが棄却され確定した場合に効力が生じます。

個人の方の破産の場合、借金等の支払義務の免除を求めて行うことが多いため、免責の許可を得、それが確定することが破産の目的となります。

2 免責不許可事由

では、どのような場合に免責が許可されるのでしょうか。

破産法は、免責の不許可事由がない場合には、免責許可の決定をするとしています。

そのため、免責不許可事由(①財産の価値を不当に減少させる行為、②手続遅延目的での不当な債務負担行為、③不当な偏波弁済、④浪費、賭博その他の射幸行為、⑤詐術による信用取引、⑥帳簿等の隠滅、偽造、変造行為、⑦虚偽の債権者名簿提出行為、⑧裁判所等に対する説明義務違反、⑨管財人等に対する不正な手段による職務妨害行為、⑩免責許可決定等から7年以内の免責許可の申立て、⑪破産法上の義務の違反行為)がなければ、免責は許可されることになります。

ただ、免責不許可事由があったとしても直ちに免責が不許可とされるわけではありません。

免責不許可事由があるような場合でも、裁判所は破産手続きに至った経緯等を考慮し、免責を許可することができるとされています。

そのため、浪費やギャンブルによって過大な債務を負担してしまったような場合であったとしても、そのことについて真摯に反省しており、今後、ギャンブルや浪費等をしないと見込まれるような場合には、充分、免責が許可される見込みがあるといえます。

3 非免責債権

また、免責が許可されても、税金や悪意に基づく不法行為の損害賠償債権等、免責の効力が及ばない債権もあります。

そのため、これらの債権については、免責が許可されたとしても支払っていく必要があります。

詳しくは債務整理に詳しい弁護士にご相談ください。

個人再生の期間

今回は、小規模個人再生にかかる期間について説明しようと思います。

個人再生を弁護士に依頼した後は、申立の準備、申立て、開始決定、再生計画案の提出、債権者の書面決議、裁判所の認可決定、認可決定の確定の順序で進んでいきます。

個人再生の申立てでは、債務の内容、収支の状況、財産の状況について、資料を付して裁判所に提出する必要があります。

申立の準備には、2か月から3か月間の収支の状況を作成しないといけないこともあり、3か月から半年ほどかかることが多いです。

ただ、状況によっては急いで申立てをしないといけないこともあり、資料等が揃うのであればもっと短い時間で申立の準備を終えることもあります。

申立ての準備が終わったら、裁判所に個人再生の申立てを行います。

申立てを行うと裁判所が資料を精査し、開始決定を出すにあたり、不足する資料はないか、追加で確認すべきことがないかを検討し、あれば申立代理人に補充すべき事項を連絡します。この補充事項に回答する、もしくは、不足する資料や追加で確認すべきことがない場合には、開始決定がなされます。

通常この期間は1か月から2か月程度かかることが多いです。

開始決定がなされると、減額された再生債権をどのように支払っていくかを定めた再生計画の案を提出する期限が設定されます。

通常この期限は、申立から2か月後になることが多いです。

再生計画案が提出され、問題なければ、書面決議に付されます。

ここで債権者の頭数の半数以上、もしくは債権額の半額以上を占める債権者から反対の意見が出た場合には、破産手続きは廃止となってしまいます。

通常、この期間は1か月ほど取られることが多いです。

書面決議で反対が半数とならなければ、裁判所が法律上の問題ないかを審査し、問題なければ再生計画の認可を決定します。

通常、この期間は2週間程かかることが多いです。

認可決定がなされると、その旨が官報にのります。そして、官報に載ってから2週間が認可決定に対して問題があるとして債権者等が抗告することができる期間になるので、官報に載ってから2週間の間に債権者等から抗告がなされない場合には、再生計画は、もう覆されることがなくなります。

これを確定といいます。

認可決定から確定までは通常1か月程度かかることが多いです。

確定後から再生計画に従い、返済等を行っていくことになります。

以上のとおり、小規模個人再生の手続は、半年から1年ほどかかることが多いです。

個人再生と管理費の滞納

 

前回に続き、個人再生の話です。

個人再生は、再生計画に住宅資金特別条項を付すことによって、住宅ローンの返済を特別扱いすることによって住宅ローンの支払いを継続し、住宅が競売等に付されるのを避けることができます。

ただ、住宅資金特別条項を付すためには、一定の条件を満たす必要があります。

この条件の一つに、後順位の担保権が付されていないことというものがあります。

通常、住宅ローンがついている住宅をさらに担保に付するというのは稀なので、ほとんど問題になることはないように思えます。

しかし、マンションについては、これが問題なる場合が生じます。

それは、管理費の滞納がある場合です。

管理費については、区分所有法において、当該マンション等について先取特権を有するとされています。これは、住宅が競売等になった場合、優先的に弁済を受ける権利があるということで、担保権に該当します。

そのため、マンションについては、管理費等に滞納があると、住宅資金特別条項を付すことができない可能性が生じます。

ただ、現時点で管理費の滞納等があったとしても、親族等の援助によって申立までに滞納を解消するなどすることができれば、住宅資金特別条項を付す形で、個人再生の申し立てを行っていくことも可能です。

詳しくは弁護士にご相談ください。

「個人再生事件における諸論点」メモ2

「個人再生事件における諸論点」メモ 2

前回の続きです。

最近、遅ればせながら『事業再生と債権管理』の174号(2021年10月5日号)のパネルディスカッション「個人再生事件における諸論点」を読み、個人再生をやっている弁護士として、示唆に富むところがあったので、メモ代わりにブログに残しておこうと思います。

個人再生は、住宅ローンであれば特別扱いすることができます。ただ、特別扱いすることができる住宅ローン(法律上は、「住宅資金貸付債権」といいます。)に該当するかどうかは法律で定まっています。

前回は、住宅購入の際の諸費用等もローンを組んで支払った場合、どのような影響がでるかについてメモを残しましたが、今回は、諸費用以外に支払ったものが含まれている場合です。

例えば、住宅ローンを組む際に、前に購入した家の住宅ローンが残っている場合、その残りの分も借り換えをして住宅を購入した場合はどうなるでしょうか。

これについてもパネリストの意見は分かれているようで、住宅資金貸付債権について、過去に居住の用に供していた建物の購入代金についても住宅資金貸付債権に含めてもよいのではないかとの意見と、法律の解釈上難しいのではないかとの意見に分かれているようでした。

裁判官のパネリストのからは、このような事案でも金額の多寡や貸付金額全体に占める割合などの諸事情を考慮して判断することになるが、住宅資金貸付債権該当し、住宅ローン特則が認められることはありうるとのことでした。

実務上も、住宅資金貸付債権に該当するかどうかが問題になる事例は少なくありません。

私も、上記と類似の事例は扱ったことがあり、住宅資金貸付債権と裁判所に認めてもらえた例もあれば、住宅資金貸付債権と認めてもらえずに、その部分のみ親族等に代わりに支払ってもらい、抵当権を解除したりしたこともあります。

このような事例は、パネリストの間でも意見は分かれているものになります。まずは、弁護士に相談されるのをお勧めいたします。

 

 

「個人再生事件における諸論点」メモ 1

「個人再生事件における諸論点」メモ 1

最近、遅ればせながら『事業再生と債権管理』の174号(2021年10月5日号)のパネルディスカッション「個人再生事件における諸論点」を読み、個人再生をやっている弁護士として、示唆に富むところがあったので、メモ代わりにブログに残しておこうと思います。

住宅資金特別条項について

小規模個人再生、給与所得者等再生手続きでは、住宅ローンだけ特別扱いすることができますが、何が住宅ローンに該当するかどうかについても法律で決まっており、「住宅の建設もしくは購入に必要な資金」又は「住宅の改良に必要な資金」で、「分割払の定めのある再生債権」のことです。

では、住宅ローンとして借りたお金の全額が住宅の購入に充てられたわけではなく、一部が住宅購入の際の登記費用等の手続費用や、家具の購入、他の債務の返済等に充てられていた場合はどうなるでしょうか。

これについて、住宅購入に必要な諸費用(登記手数料や保証料、建物の管理費・修繕積立金)については大体10%くらいまでであれば、個人再生で特別扱いできる住宅ローンの範囲として認めてもよいのではないかとの意見が出されていました。

これに対して、住宅ローンとは別に、諸費用のローンが組まれており、別に抵当権が設定されている場合には、パネリストの間でも意見が分かれており、諸費用のローンについても住宅ローンと同視することができるとする意見と、諸費用のローンが別個の債権として規定されており、かつ、後順位抵当権も設定されている場合には、民事再生法198条1項ただし書きに明確に反しているため、住宅ローン特則は使えないという意見があるようでした。

裁判官のパネリストの意見としては、事案によるとのことでしたが、住宅ローンに諸費用のローンが含まれている場合も。住宅ローンとは別に諸費用のローンが組まれている場合も、住宅ローン特則が使えるとされた例があるようでした。

 ちょっと、長くなりましたので、続きは別の記事を立てて書いていこうと思います。

任意整理をするメリットとデメリット

1 任意整理のメリット

 ⑴ 督促を止めることができる

 任意整理を弁護士に依頼し、弁護士がその旨を債権者に通知すると、債権者は、直接依頼者に連絡することができなくなります。

 そのため、支払が遅れている場合や遅れそうな場合でも、債権者からの督促を止めることができ、勤務先や家族に借入等があることを知られることを防ぐことができます。

 ⑵ 完済までの道筋を立てることができる

 任意整理を弁護士依頼すると、債権者との交渉によって、債務額を確定し、多くの場合、利息等が発生しないような形にした上で、3年から5年程度で支払っていくことができるようになります。

 そのため、任意整理をすると利息等が発生せず、毎月、払った分だけ債務が減り、完済までの道筋が立つことになります。

 ⑶ 支払い総額が減る

  また、利息等が発生しない形にしたり、少なくとも利率を下げることができるので、そのまま支払っていくよりも返済の総額を減らすことができます。

2  デメリット

 これに対して、任意整理のデメリットとしては、信用情報に事故情報が登録されてしまうことが挙げられます。

 任意整理を行うと、最短で弁護士に依頼してから5年、最長で完済から5年の間、信用情報センターに事故情報が登録され、その期間は、融資の際の審査が厳しくなり、新しく借り入れをしたり、ローンを組んだり、クレジットカードを作成することが難しくなります。

 また、任意整理の対象としなかったクレジットカード等についても、新たな利用ができなくなってしまう可能性があります。

詳しくは、弁護士等の専門家にご相談ください。

任意整理で元金が減る場合

任意整理で元金が減る場合

 

1 任意整理とは

任意整理とは,弁護士が間に入って,貸金業者やクレジットカード会社と交渉し、毎月の返済額等を減らす手続きになります。

2 利息の払い過ぎがある場合は、元金が減ります。

平成20年前後からの借り入れがある場合には、利息の払い過ぎの可能性があります。そのような場合には、払いすぎた利息は元金の支払いに充てられるので、元金が減ります。払いすぎた金額が、借りた金額より多ければ過払い金として返還を請求することができる場合もあります。

3 任意整理で元金が減らない場合

それ以降に借り入れた場合には、法定の利率で借り入れた可能性が高く、利息の払い過ぎはないかと思います。

この場合には,任意整理をしても元金は減りません。

4 元金が減らない場合に任意整理をすることのメリット

ただ,元金が減らなかったとしても,任意整理をすることのメリットはあります。最大のメリットは,今後,払っていく際の利息を0%に,悪くとも現状よりは減らせることが多いことです。利息制限法の範囲内であっても,その利率は年15%から20%であり,決して少ない金額ではありません。

借りている金額が大きい場合には、返済をしてもほとんど利息の支払いに充てられ、返しても返しても元金が全く減らないという状態になっていることもあります。

任意整理をすれば、利息をカットすることにより、支払わなければならない金額を確定させ、完済までの道筋を立てることができます。

また,毎月の返済額等についても交渉していくことになるので,交渉次第ではありますが,毎月の返済額を無理のない範囲に収めることができます。

5 任意整理をした方がよいかどうかは、総合的な状況しだいになります。詳しくは弁護士等にご相談ください。

 

債務整理の相談で収入と支出を確認する必要があります。

1 債務整理   弁護士が行う債務整理の方法としては、主に、①任意整理、②個人再生、 ③債務整理の3つが挙げられます。 2 任意整理   ①の任意整理は、法律上の手続ではなく、貸金業者等の交渉により毎月の返済額等を変更していくものになります。そのため、元金をカットしたりすることはできないことが多く、その結果、毎月の返済額はそこまで変わらないこともあります。   そのため、任意整理の場合には、毎月の返済額が確保できるかどうかを把握する必要があるため、収入と支出を把握する必要があります。 3 個人再生   ②の個人再生は、裁判所に申し立てることにより、一定の金額に借金を減額し、それを原則3年間、場合によっては5年間で支払っていくものになります。   個人再生の場合には、裁判所に収支の状況を報告する必要があることや、裁判所に法律に従い減額すれば3年間から5年間で支払っていくことができることを示す必要があることから、収入と支出を把握する必要があります。 4 自己破産   自己破産は、裁判所に申立て、一定の範囲の財産を換価し、それを債権者の支払いに回し、それでも残ってしまった借金の支払い義務を免除するものになります。   自己破産の場合には、任意整理や個人再生の場合と異なり、手続き後に支払いをしていく必要はありません。   しかし、自己破産は、支払ができない場合に認められる手続きになるので、収入と支出を裁判所に報告し、支払ができないことを示す必要があります。 5 手続き選択   また、任整整理や個人再生、自己破産の手続きの内、どれを選ぶべきか迷っている場合にも、収入と支出を把握し、任意整理や個人再生の支払いが可能かどうかを検討することにより、どのような手続きを取った方がよいか助言することもできます。 6 まとめ  このように,債務整理のご相談をされる場合には、収入と支出を伺うことになります。  弁護士法人心では、債務整理の相談は相談料無料で伺っております。  詳しくは、弁護士等の専門家にご相談ください。

同時廃止と管財事件

 自己破産とは、簡単に言うと、財産等を処分し、お金に換えて、それを債権者に平等に分配し、それでも残ってしまった借金等の債務の支払義務を免除するという手続きです。

 つまり、破産しても残すことが認められた財産(自由財産)を超える財産がある場合には、破産手続きの中で売却等されることになります。

 ただ、実際には、裁判所が直接財産等を売却したり、売却するまで管理したりすることはないので、裁判所が財産の管理・売却をする人を選任することになります。

 この時選任されるのが管財人です。

 管財人には、多くの場合、これは弁護士が選ばれることになります。

 また、破産法には免責不許可事由が定められており、免責不許可事由がある場合には、借金等の支払義務を免除しないことにすることができると定められています。

 そのため、免責不許可事由があるとしても、必ず支払義務が免除されないということはなく、裁判所の裁量で免責が許可されることもあります。これを裁量免責と言います。

 ただ、裁判所は直接免責を許可すべきかどうかの調査を行ったりしないので、財産等がなかったとしても、免責不許可事由がある場合には、管財人が選任され、免責を許可すべきかどうかの調査を行うことが多いです。

 それ以外の場合、すなわち破産しても残すことが認められた財産しかないことが明らかであり、かつ、免責不許可事由がない場合には、管財人を選任する必要がないので、管財人が選任されない同時廃止という手続きが取られることがあります。

 管財事件になると管財人に選任される弁護士の報酬を負担しなければならないため、同時廃止の場合と比べ20万円から60万円の費用が掛かることになります。

 また、同時廃止であれば裁判所に行かずに済むことも多いのですが、管財事件になると裁判所や管財人の事務所に行くことが必要になります。

 また、管財人の調査等に協力することが必要になります。

 したがって、管財事件になると、金銭の面でも時間の面でも負担が多くなります。

 そのため、なるべく同時廃止の方向で進めていきたいと思われる方が多いと思いますが、同時廃止か管財事件かの基準は裁判所毎に異なります。

 同時廃止になるか管財事件になるかについては、地元の経験豊富な弁護士でなければわからないことが多いです。

 まずは、弁護士にご相談ください。

以上

破産しても、手元に残して置けるもの

 自己破産とは,債務者の財産をお金に換え,債権者に平等に分配し,それでも残ってしまった債務の支払義務を免除するという手続きになります。

 そのため,破産手続開始決定時に債務者が有していた財産は,売却等によりお金に換え,債権者への支払に充てられることになるのが原則です。

 ただ,例外的に,お金に換えて債権者への支払いに充てられることのない財産もあります。これを自由財産といいます。自由財産については,破産手続開始後も破産者の手元に置いておくことができます。

 自由財産にはいくつかの種類があります。

 まず、破産後も人は生活をしていく必要があるため,破産法は、99万円までの現金については自由財産として破産後も破産者の手元に置いておくことを認めています(破産法34条1項1号)。

 加えて、生活必需品等の差押禁止動産や,生活に必要な収入等の差押禁止債権についても自由財産として,換価の対象とならず,破産後も債権者の手元に置いておくことができます。

 また,破産の対象は、破産手続開始決定時の財産になります。そのため、破産手続き開始決定後の原因によって得た財産についても換価の対象とならず,自由財産として手元に置いておくことができます。

 加えて,本来自由財産に該当しない財産についても,裁判所が自由財産の範囲の拡張の決定をすることにより,自由財産として手元に置くことができます。

 自由財産の拡張の基準については,法律上具体的な規定はありません。そのため,裁判所によって基準が異なりますので、詳しくは弁護士等にご相談ください。

 弁護士法人心では,破産をはじめとした債務整理の相談については原則相談料無料で承っております。まずはお気軽にご相談ください。

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