弁護士 長谷川睦(愛知県弁護士会)トップ >>


ようこそ,弁護士 長谷川睦のブログへ

日々思ったこと,皆様のお役にたてる情報などを書いていきたいと思います。


私が所属する事務所のサイトはこちらです。
弁護士法人心 東海法律事務所




個人事業主の個人再生について(買掛金の処理)

事業再生と債権管理187号「個人事業主の債務整理と経済的再建」の座談会に、個人事業主の小規模個人再生の場合の買掛金の処理についての考え方が載っており、勉強になったので、備忘録としてブログに残しておこうと思います。

弁護士に依頼して受任通知を出すことは支払停止と解されており、支払停止後の弁済については偏頗行為に該当し、破産であれば否認権行使の対象になると解されています。

個人再生の場合には、否認権の規定はないのですが、偏頗行為があった場合には清算価値へ計上する必要があると解されています。

仕入等の買掛金の支払いについても、この支払停止後の弁済に該当する可能性があるところ、支払いを止めると事業の継続ができなくなり個人再生もできなくなるというジレンマがある。

この点について、同座談会の中では、受任通知後に、新たに仕入れて発生した買掛金については、既存債務の弁済ではなく、偏頗行為にあたらないのではないとの考えが示されている。

現金で決済するような仕入行為については同時交換的取引については偏頗行為に該当しないとされています。

同時交換的取引については、危機時期以降になされた新規の債務は従来の責任財産の平等分配を確保する必要がないため、実質は危機時期になされた新規信用供与に対する債務消滅行為であれば足り、両者が同時にされる必要は必ずしもないとされているようです。

そのため、現金決済のように仕入れと支払いが同時でなくとも、受任通知後の仕入れに対する支払いであれば、既存債務の返済に該当せず、偏頗行為に該当しないと解することが可能とのことのようです。

ただ、理論的に詰めていくことが今後の課題となるとされているので、実際の事件処理で使う際には、いろいろと考えることが必要になりそうです。

 

昔の借入の督促が来た時の対応

昔に借りたものについて督促が来たり、裁判所から呼び出し状が届いた場合、時効を援用することができるかもしれません。

時効の援用が認められれば、支払義務は消滅するので、実際に昔、借入をいていたとしても、もう返済する必要はなくなります。

ただ、時効を援用する際には気を付けないといけないことがあります。

それは、相手方に連絡してはいけないということです。

時効は、単に期間が経過するだけでは効力が発生せず、効力を生じされるためには時効を援用する必要があります。

時効の期間を経過した後でも、時効を援用する前に、支払うと約束するのはもちろん、支払いを待ってほしい等、支払義務があることを前提にした言動をしてしまうと、それ以降、時効を援用することができなくなってしまいます。

裁判例では、特別な事情がない限り、一旦、債務の支払義務があることを認めた以上、そののちに時効期間が経過しているとして時効を援用することは信義則に反するとされています。

そのため、時効援用前に債権者と話をして、上手く話しをすすめられ、支払義務があるということに肯定する返事をしてしまうと、時効の援用が認められなくなってしまう可能性があるのです。

つまり、昔の借入等が来た際に、相手に電話等をかけてしまうと、上手いこと返済する方向に持ってい返れる可能性があり、それに対する返答次第によっては時効が援用できなくなってしまう可能性があるのです。

そのため、もし、昔に借りたものの督促がきたり、その件で裁判所から連絡が来た場合には、慌てて債権者等に連絡することはせず、まずは、弁護士等の専門家に相談しましょう。

 

別除権協定について

個人再生は、個人事業主の場合も利用することができる手続きです。

再生債務者が個人事業者の場合、事業に不可欠な機械や自動車等についてリース契約等を締結している場合があります。

リース料の支払いが残っていると、このリース料債権は再生債権となるため、弁済が禁止されます。

その一方で、リース会社はそのリース物件を引き揚げることになります。

このようなことになると、再生債務者が事業の継続をすることができなくなるため、再生債務者とリース会社との間で、リース料金を支払う代わりに、別除権を行使しないという合意をすることがあります。

これを別除権協定といいます。

別除権協定が認められるためには、①リース物件が事業の継続のために必要であること、➁別除権協定に基づく支払額が、リース物件の評価額に収まっていること等が必要になります。

所有権留保付きの自動車についても、別除権協定が結ばれることがありますか、単に通勤に使うのみでは認められないことが多いようですが、通勤のために公共交通機関を利用することが困難な場合等には、別除権協定が認められることもあるようです。

詳しくは、弁護士にご相談ください。

 

会社が破産する場合にやらないといけない手続き(従業員関係)

会社が破産し、廃業する場合には、全従業員の雇用を継続することはできないので、事業停止時に全従業員を解雇することが多いです。

余力があれば、解雇予告手当や未払いの給与、退職金を支払うこともありますが、資力がなければ、未払いのまま破産手続きを進めていきます。

未払いの給与等がある場合には、独立行政法人労働者健康保険機構が実施する未払賃金立替制度を使用し、未払分の8割の支払いを受けることができます。

また、会社が破産する場合には、従業員が失業手当を受けたり、保険の切替ができるよう、会社の代表者や依頼を受けた弁護士は書類の交付や手続きを行う必要があります。

例えば、失業保険を受給するためには離職票をハローワークに提出する必要があります。

離職票は、事業者が雇用保険非保険者離職証明書と雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出することによって、事業者に交付されるので、会社が破産した場合、事業者は速やかにこれらの書類を提出することが必要になります。

また、従業員は解雇により社会保険、厚生年金保険の被保険者資格を失うので、国民健康保険・国民年金に切り替えることになります。そのため、事業者は健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届、健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届を年金事務所に提出します。

源泉徴収票も、再就職先で年末調整等するために必要になるので、解雇の際、もしくは解雇後速やかに交付する必要があります。

住民税についても、給与から天引きする特別徴収を行っていた場合には、これを普通徴収に切り替えるため、各市区町村役場に備え付けられている給与所得者異動届出書を作成し、各市区藤村役場に提出する必要があります。

その他、従業員の健康保険証、携帯電話、ETCカード等を貸与している場合には、これを返してもらいます。

中小企業退職金共済等に加入している場合には、その請求手続きを行います。

 

裁判所からの書類について

最近は、架空請求等の詐欺も多いので、覚えのない請求書等が届いた場合には、確認せず、何の対応もしないことも多いかと思います。

私も、郵送のものは少ないのですが、メール等については、身に覚えのない支払いを求めるメールがかなりの量、届くので、ほとんどの場合は確認することなく無視してしまいます。

ただ、裁判所からの書類が届いた場合には無視するべきではありません。

架空の請求だったとしても、真に裁判がされている場合には、無視していると判決が出て、実際に財産を差し押さえられることになりかねません。

そのため、裁判所からの書類が届いた場合には、無視してはいけません。

ただ、最近は、裁判所を装った架空請求の書類が届くこともあります。

裁判所からの書類が届いた場合でも、その書類の連絡先に連絡してしまうと、架空請求の餌食になる可能性があります。

よって、裁判所からの書類が届いたら、身に覚えがないとしても、その裁判所の連絡先をインターネットなどで自分で調べて、実際に裁判が起こされているかどうかを確認しましょう。

そして、実際に裁判がされていた場合には、弁護士等の専門家に相談されるのがよいかと思います。

 

住宅資金特別条項について

個人再生であれば、破産と違って自宅を残すことができると説明されることが多いです。

確かにそのとおりではあるのですが、場合によっては自宅を残せないこともあります。

まず、住宅ローンがある場合、自宅が住宅ローンの担保になっているので、なにもせずに個人再生を行うと支払いが禁止され、その結果、期限の利益を失うことになり、担保権の行使は停止しないので、競売等の手続きがなされてしまいます。

ただ、個人再生の場合には、住宅ローンについて弁済の許可を得て、再生計画において住宅資金特別条項を定めることにより、住宅ローンについては支払いを継続することができ、期限の利益を失わず、担保権の実行されないことができます。

そのため、住宅資金特別条項を定めることができない場合には、住宅を残すことができません。

では、どのような場合に住宅資金特別条項を定めることができるのでしょうか。

まず、住宅資金特別条項を定めることができるのは、住宅資金貸付債権のために抵当権が付されている場合に限られます。

住宅資金貸付債権とは、住宅の建設・購入に必要な資金または住宅の改良に必要な資金で分割払の定めがあるものを意味します。

そのため、自宅に抵当権が付いていても,住宅の購入等のための借入れではない場合や、借入れが住宅の購入のための部分もあるが、それ以外の部分も含んでいるような場合には、このような貸付けを保全するために自宅に抵当権がふされているとしても、住宅資金貸付債権とはいえず、住宅資金特別条項を定めることはできません。

また,住宅資金特別条項の住宅とは「個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、その床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるもの」をいいます。

そのため、ご自宅の所有者が再生債務者以外となっている場合は、住宅資金特別条項を定めることは出来ません。

ただし、持ち分がわずかであっても、ご自宅の共有者であれば,住宅資金特別条項を定めることができます。

また、住宅資金貸付債権以外の債権について、自宅に抵当権が設定されている場合も、住宅資金特別条項を定めることはできません。

個人再生の手続きで住宅資金特別条項を定めることができれば、住宅ローン以外の債務を大幅に減額した上で、ご自宅を残していくことも可能になります。

ご自宅を残すために個人再生の手続きを考えておられる方は、ぜひ,弁護士法人心にご相談ください。

 

事業再生と債権管理187号について

先月は、『事業再生と債権管理 188号』の特別企画「個人事業主の債務整理と経済的再建」の備忘録かわりのメモをブログで書いたのですが、今回は前号の分についても、同じようにメモを取っておこうと思ったので、順番が逆になってしまうのですが、『事業再生と債権管理187号』の特別企画「個人事業主の債務整理と経済的再建」の破産手続きまでの部分について気になったところメモしておこうと思います。

個人事業主の特徴としては、財産や取引、債務の形成原因が事業と個人生活の間で分離されておらず、事業が破産手続開始によって欠格となる恐れがあり、破産手続き後も公租等が非免責債権として残り、手続後の生活設計も考慮する必要がある。

破産法1条で、債務者の経済生活の再生の機械の確保を図ることが目的となっているので、差押禁止財産等を使ってその後も事業を営むことは何ら否定されるものではない。

債務が5000万円を超える場合、個人再生は利用できないが、事業再生等ガイドラインや中小企業活性化協議会の手続を利用することは考えられる。

確定申告もできていないような場合、破産はともかくとして、個人再生等の手続を利用することは難しいと思う。

破産後も個人事業を継続しているかどうかは、事業継続のために必要なものが自由財産にあたるかどうか。

どのようなものが、技術者、職人、労務者その他の主として自己の知的または肉体的な労働により職業又は営業に従事する者のその業務に欠くことができない器具その他の物にあたるかは、その職業として生活して最低限の事業レベルの保護に限られる?

第三者への譲渡可能性がなければ、営業権は考慮する必要がない。本人の才能、技能によって成り立っているのであれば、営業権の評価ほとんどないということにならざるを得ない。

個人事業主の収入が給与と同視でき、ほかに換価・回収が必要な財産がまったくないことなどについて、申立段階できちんと説明が尽くされているのであれば、必ずしも管財事件とする必要はない。

普段債務整理を扱う弁護士としては大変勉強になりました。

事業再生と債権管理188号について

今回は、「事業再生と債権管理」188号の特別企画「個人事業主の事業再生・廃業」感想をメモ代わりに書いておこうと思います。

 

気になった点等を抜き出すと

・理容師等でも、財産等が自由財産の範囲内であれば、事業を継続しながら破産をすることができる可能性があること、

・破産申立前に事業譲渡をするためには価格の適正性を説明できることが必要、

・事業譲渡価格の算出根拠をできる限り客観的に説明することが必要、

・それができない場合には申立前の譲渡をあきらめ、管財人に事業譲渡をしてもらうために速やかに申立てを行う、

・否認のリスクがあること、否認された場合にどうなるかを説明しておくことが必要、

・現実的には難しいとのことだが、契約だけして双方未履行の状態で申立てをし、履行の選択権を管財人にゆだねるという方法もある

・管財人がどのような考えか分からないので、依頼書の希望に沿うことを考えると、なるべく申立前に事業譲渡をした方がよい、

・個人事業主は小規模のため、専門家の評価費用を捻出することが難しいことも多い、

・営業権を考慮するか、事業用資産の総体でかんがえるかだが、実際は後者の考え方で対応することが多い

・営業権の簡易的な算定方法としては、営業利益から税金負担を控除し、税引き後の営業利益の数年間の平均値に破産による事業価値の減少を若干加味して金額を算出するという方法が考えられる

 

弁護士として、個人事業主の破産等に関わることも多いので、学びのある企画でした。

債務整理の相談の際は通帳等をご用意いただけると助かります。

1 家計の収支が把握しやすい

債務整理の件でご相談いただき、ご事情等を把握させていただいた後には、今後の方針を決定していくことになります。

通常、個人の債務整理の場合、方針は自己破産・個人再生・任意整理のいずれかになります。

任意整理や個人再生の場合には、債務が全てなくなることはないため、支払いを継続していく必要があります。

そのため、任意整理や個人再生の方針で進めていくためには、毎月いくら払っていくことができるかを確認する必要があり、収入と支出を確認させていただき、毎月いくらを債務の返済に充てることができるかを把握する必要があります。

通帳があれば、通常、そこから収入の金額や、光熱費等の口座振替になっている支出を把握することができるので、毎月の収入と支出を把握することの助けになることが多いです。

2 相談者が意識していない債権者の把握

また、相談の際は、すべての借入先等を伺うことが多いです。

これは、任意整理の場合には、受任した債権者以外に影響がでることによる予期せぬ不利益を避ける必要があることと、個人再生・自己破産の場合には全て債権者を手続きに含める必要があるからです。

ただ、後払い決済等については、債権者と意識されていない方もおられます。

このように相談される方が認識しておられない債権者についても、通帳の記載から確認することができ、問題が生じることを避けることができます。

3 それ以外にも、通帳を確認させていただくことのメリットはございます。

したがって、債務整理でご相談の際は、通帳をお持ちいただけると助かりますので、よろしくお願いいたします。

また、最近はネットバンクも増えております。

ネットバンクであれば、相談の際にスマートフォン等の画面で確認させていただく形でも構いませんので、ログインのご準備をお願いいたします。

弁護士との相談をスムーズに進めるためにもご協力お願いします。

 

相隣関係について(令和3年の民法改正)

令和3年の民法改正により、隣地の竹木の枝が境界線を超える場合には、一定の場合(竹木の所有者に枝を切除したにもかかわらず相当期間内に切除しない場合や、隣地の所有者が不明な場合)には枝の越境部分を自ら切り取ることができるようになりました。

これまでは、根については、土地の境界線を越える場合にはその根を切り取ることができるとされていたものの、竹木の枝については、竹木の所有者に、その枝を切除させることができると規定されるにととどまり、みずから切除することができるとは規定されていませんでした。

これまで、竹木等の越境は、空き家問題の一部を占めていたようで、この改正により、自治体担当者のクレーム対応の負担が減ったといわれています。

ところで、そもそもなぜ、枝は、勝手に自分で切ることはできず、根は、切ることができると定められていたのでしょうか。

これについては、枝は見た目等が重要であり所有者に植え替えの機会を与えるべきであるからということや、建物を建て替えるために土地を掘り返す場合、深い部分では、どの木の根が伸びてきているかわからず、隣地の木かどうかがわからないからなどといわれています。

ただ、隣地の所有者が分からない場合に、根は切ってもよいが、枝については裁判までしないといけないというのは不合理だと思いますので、この改正はよかったのではないかと思います。

1234567891011

関連リンク集 目次   
相互リンク集 目次